購買力平価説について

 為替の変動が大きく困惑されているかもしれません。長期的な為替レートを考える上で有用とされる購買力平価説こうばいりょくへいかせつ)を紹介します。

 通貨の価値は、それぞれの国の商品やサービスを買うことのできる力(購買力)や物価水準によって決まるという説で、スウェーデンの経済学者カッセル氏が提唱した「購買力平価」(英語では「Purchasing Power Parity」、略称「PPP」)を基にした為替レート決定メカニズムの仮説のひとつ。長期的な為替レートの動向を分析・説明するには有用とされ、経済学や国際金融の分野で重要な概念として広く認識されている。

 購買力平価説には二つの考え方があり、一つは「絶対的購買力平価説」で、自由貿易のもとでは同じ商品やサービスであれば、どこの国でも同じ価格で取引されるはずという「一物一価の法則」を前提とし、為替レートは二国間の購買力の比によって決まるというもの。具体的には、ある物の価格が日本では1,000円(円の購買力)、米国では10ドル(ドルの購買力)とした場合、ドル円の購買力平価は理論的に1ドル=100円(1,000円÷10ドル)になる。そして、その理論値と実勢レートを比較すれば、円相場が割高なのか割安なのかの目安になる。ビッグマック指数は、この説の一例。

 「相対的購買力平価説」は、為替レートは二国間の物価上昇率の比によって決まるというもので、為替レートの見通しを立てるうえでは、こちらを使用することが一般的とされている。計算式は「基準となる為替レート ×(自国の物価上昇率 ÷ 相手国の物価上昇率)」。
                                    出典:野村證券

 日本では公益財団法人国際通貨研究所(https://www.iima.or.jp/)が購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity)を算出・公表しています。

 

 
2024年09月09日