社会保障

1.年金

 年金には、公的年金、企業年金及び個人年金があります。
 公的年金の一つ国民年金は20歳から60歳まで480ヶ月納めて、年金が65歳から満額支給されると831,700円(令和7年度価格)*になります。10年納めると年金を受ける権利を得ることができます。年金は後払いで2ヶ月に1回支給されます。支給開始年齢は60歳から受け取り可能ですが短縮する月により減額され最小0.7倍支給、遅く支給を始めるときは75歳最大1.84倍支給となります。死亡するまで同じ年金額が支給されます。
* 昭和31年4月2日以降生まれの方です。

 納付額は17,510円/月(令和7年度価格) です。自営業の方は、この金額です。厚生年金加入者は厚生年金を含めて半額会社負担となりますので、各人それぞれ納付額は異なります。自営業と同じ負担をすると将来受け取る年金額は厚生年金に加入した方が有利になります。
 公的年金では所得が低い方に納付額を免除や減額される措置があります。手続きをしないと年金受給に必要な期間(10年)を満足しない場合や遺族・障害基礎年金へも影響が及ぶ(受給できない)場合がありますので手続きをおすすめします。生命保険の側面もあります。余力がある方は付加年金、厚生年金基金、確定拠出年金などの利用を検討してみてはいかがでしょうか。所得控除が受けられます。
 老齢基礎年金へ積み増しできるものに、国民年金基金又は付加保険料があります。二つは同時に積立できず、どちらかを選択します。

 企業年金の一つに、確定拠出年金があります。確定拠出年金は①掛金が所得控除になる、②運用期間中、運用益が非課税である、③受け取り時に非課税枠があるなど特典があります。運用は自己責任ですが利用する価値はあります。

2.労災(労働者災害補償法)

 労働者災害保険法は、労働者が一人でもいれば適用事業です(規模の小さい個人経営の農林水産業は暫定的な運用有)。保険料は全額事業主負担です。業務中・通勤中の負傷・疾病・傷害・死亡などに保険給付があります。
 業務上の事由による傷病で休業するときには労働者の生活を保障するための給付がありますが、給付開始から1年6ヶ月が一つの区切りです。通勤中の災害は対象となっていません。休業中の所得保障は最大で通算1年6ヶ月が目安となります。

3.雇用保険(雇用保険法)

 雇用保険法は、労働者が雇用されている事業が対象です。(常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の農林の事業、畜産、養蚕又は水産の事業<船員が雇用される事業を除く>は暫定的な運用有)
「失業」、「雇用の継続困難」及び「教育訓練の受講」について給付を行います。この中には育児休業給付、介護休業給付が含まれます。

4.健康保険(健康保険法)

 会社員が、業務外(業務災害以外)でけがや病気になったときに保険給付をする医療保険です。疾病、負傷もしくは死亡または出産に関して保険給付を行います。自己負担は3割ですが、高額な療養費が続いた場合は、一定基準以上の自己負担額から高額療養費算定基準額を控除した額が高額療養費として支給される制度があります。なお、介護保険料は40歳から納めます。