3(現職優先は当然だが・・・)
運命の女神はまずわたしに謝罪を求めました。
民商事務局の同僚、吉元氏が岡南地区の民商会員の2,3人に「田畑を頼む」と声をかけたことから“田畑は謝罪し
ろ”と党の幹部に咎められました。なんとも割り切れない気持ちでしたが、“それが事実なら申しわけない”とK氏の後援
会長に謝罪しました。吉元氏ももちろん謝罪させられました。わたしはいまだに彼には“悪かったな”という思いが残ってい
ます。他の候補者の状況からすれば彼の方がまだ良心的だったのですが、この謝罪要求と謝罪はわたしたちの人格を
歪めたと思います。党への不信感を心の囲炉裏に火種として今でも残しています。
その後、選挙直前になって「Kが落ちる。田畑の区域の一部をKに変える」ということになりました。わたしの後援者たち
は“どういうことだ。われわれに謝罪をさせ、他の候補者は勝手にやらせて、最後は田畑を落とすのか”と激怒しました。
わたしは党の議席確保のための“現職優先”の措置だからとみんなを説得してまわりました。こうしてわたしの地元学
区の一部がK氏に分割され、わたしは落選しました。この市議選最初の落選についてわたしは自分なりに納得していま
した。しかし、敗選後の仲間の言動にわたしはひどく傷つけられました。他候補を支援したそれぞれの選対メンバーや
党の幹部から、「選挙はやるからにはどんなことをしてでも勝たねば意味がない。バカな奴だ」
「田畑はだらしがない。もう少しはやるかと思ったが・・・」「謝罪までして落選とは情けないやつだ」
「真面目だけで選挙が勝てるか。大バカだよ」「辻野が当選して当たり前。人物が違う」
「京大と岡大じゃ、京大が当選して当たり前じゃ」「民商は口ばかり。からきしダメじゃ」などと痛烈な批判が浴びせられま
した。“落選したのはわたし個人と民商の責任だ!”という叱責も多くありました。民商と共産党とはまったく別の組織で
す。それに、民商の中の共産党を支援する後援会もそれぞれの区域でそれぞれの候補者のために奮闘しました。
と、思うとなにか割り切れないものが胸につかえてとれません。そんな時でした。
幹部の方がわたしにボソッと言いました。
「もう少しはやるかと思ったが・・・なんだ、だらしない。落ちたか」
この言葉は今でも心に刺さった割れガラスとなっています。
つづく