2(初回落選)

 わたしが初回の市議選で落選した理由は大きく言って次の二つと考えられます。「第1に岡山民主商工会事務局長の仕事と市議予定

候補者としての活動の両立に無理があったこと。直前まで確定申告を中心とする春の運動に忙殺され、選挙のための準備期間があまり

にも短すぎた。

 第2に6人の議員を当選させるには党の力量が不足していた」。つまり、情勢分析と現状認識に誤りがあったことを指摘しておかなけれ

ばなりません。
 
 辻野議員が次田米次元市議の後継者として立候補するにあたり幾人かの人がわたしにこう告げました。辻野議員とわたしは同年出馬

でした。「辻野は会社をやめて立候補するが、田畑は落ちても民商に帰ればいい。辻野は落とせない。それに君と辻野では人物が違いす

ぎる」わたしを支持しないという人たちのお小言をわたしはただ黙って聞いていなければなりませんでした。本当に辛い日々でした。

 わたしは選挙に出るのが次第に嫌になりました。

 区域割はあってなきがごときものでした。赤旗読者も田畑には入れないという方が大勢いました。これもわたしの骨身にこたえました。

「どうしてぼくはこの人たちのお小言を聞くためにここに立っているのだろう」と、人格を否定された思いでその人の前に立ちつくしていました。

「嫌な奴!」向き合う相手とやりあうのは得意なのですが、身内意識が少しでもある人とやりあうのはどうも苦手です。これはわたしの欠点

です。「嫌いな奴と付き合わなきゃいいじゃないか」そう思うと、なんだかなにもかもが嫌なことの方に目が向いてしまいます。

 自己嫌悪と自己否定に悩んでいた時“ハッ!”と思ったことがありました。みんなからそう言われるのだから、みんなから見て“おまえが嫌な

奴じゃないか”って。「そうだよ、けんじ。おまえこそが嫌な奴だ。相手からしてみりゃそうなんだよ。鼻っ柱は強えし、強情で。人格が劣るも

致し方なし。そのとおりだ。しかし、嫌いな奴もいれば、好きな奴もいる。苦手なんじゃなくて、苦手と思っているだけで、おまえの努力が足

りねえんだよ。しっかりしなよ。舞台にゃ、寝た奴、踊っている奴、歌っている奴、この世の舞台にゃ、なんでもござれだ。みんな違ったのがい

るからこそこの世の舞台がおもしれえんだよ」

 こう思えるようになった時はもう選挙直前。わたしは運命の女神から見放されていました。

 しかし、人の出会いって不思議ですね。ある人がわたしにこう言いました。

 「党の大会決定を読んでみたらいいと思うよ」と。

                                                               つづく         
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