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今月読んだ本 2013.02.28
小倉千加子
「シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる―」
アリサ・クレイグ
「殺人を1パイント」
柴田よしき
「ゆきの山荘の惨劇―猫探偵正太郎の登場―」
「消える密室の殺人―猫探偵正太郎上京―」
「猫は密室でジャンプする―猫探偵・正太郎の冒険1―」
「猫は聖夜に推理する―猫探偵・正太郎の冒険2―」
「猫はこたつで丸くなる―猫探偵・正太郎の冒険3―」
「猫は引っ越しで顔あらう―猫探偵・正太郎の冒険4―」
「謎の転倒犬」「観覧車」

猫探偵シリーズが面白かったので、その後も柴田よしきさんを読んでいます。 まだ少ししか読んでいませんが、いいものを書かれる作家さんだと思います。


「謎の転倒犬」柴田よしき 2013.02.28

ユーモアミステリーの短編連作集。 人気占い師、摩耶優麗(まやゆうれ)と就職難でその助手にさせられた石狩くんがいろんな謎を解決していきます。

石狩くんは優麗と出会った時に最近の行動と苦境を言い当てられ、「過去に戻ってあんたの姿を見てきた」と言う優麗の言葉を否定することができず、優麗の下で働くことになります。 実は優麗は石狩くんのファッションや状況証拠など観察眼を生かして推理したのですが、石狩くんにはそんなことわかりません。 弱気さもあいまって、まんまと優麗にひっかかる石狩くんなのでした。

石狩くん、優麗が社長を務める占い会社の上司に「北海道の平野の石狩?」と確認されたことから、間違って「十勝くん」と呼ばれ、トカチがニックネームになっていきます。 そういうところにも石狩くんの弱気さと人の好さが出ていて笑っちゃいます。

この本のタイトル、なんのこっちゃ?って感じですよね。 ドッグトレーナーに預けた犬がなぜか何もないところで転ぶようになって帰ってきた、というエピソードによるものなんです。 優麗はそこから大きな推理を発展させ、日本の危機を未然に防ぐのでした。

謎を解きながらも大笑いできる本です。 読後感がとってもいいです。


「シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる―」小倉千加子 2013.02.22

フェミニストとして名高い心理学者、小倉千加子さんのエッセイ集。

「シュレーディンガーの猫」は量子力学上の命題の一つですが、最初にこの命題を知った時の感想は「猫、可哀そっ!」でした。 机上の論理実験であって実際にやったわけではないことを知った今でも「なんで実験マウスじゃないのよ」と猫可哀そうさに憤っている私です。 (ネズミは嫌いなので可哀そうではない)

すみません、話がそれました。 このエッセイ集は、「シュレーディンガーの猫」のようなパラドックスが満ち溢れたこの世のいろんなことを題材に、小倉千加子がパラドックスを語る、そんなエッセイ集です。 彼女の切り口はいつもはっきりすっきりしており、読んでいて気持ちがいいものです。 が、このエッセイ集は一編一編が短すぎて、問題提示に終わっており、気持ちよさにかけるなぁというのが正直なところ。 もっと彼女の本来の持ち味をたっぷりと堪能したいと思わせられる、そんな本でした。


「猫探偵正太郎シリーズ」柴田よしき 2013.02.15

猫探偵正太郎シリーズを読みました。 猫好きの私、図書館で背表紙の「猫探偵」に惹かれて引っ張り出したところ、表紙の絵に一目惚れ♪

写真はシリーズ全6冊を並べたもの(順不同)  正太郎はお腹と左手が白い黒猫です。 ね、可愛いでしょ(*^o^*)

飼い主のことを「同居人」と呼ぶ、クールでハードボイルドな正太郎。 あ、ハードボイルドは気取ってるだけで実際はそうじゃありませんが。 長編と短編の大半は正太郎の一人称で書かれていて、とても軽快な文体。 特に正太郎が一人語ちているのがとてもテンポよくて楽しいのです。 そして可愛いだけじゃなく、類まれな観察力と推理力で謎を解く能力の持ち主! 猫は3歳児並みの知能があるっていうけれど、それどころじゃないわ! こーんな猫ちゃんがいたら、毎日が楽しいだろうなぁ。

実際に事件を解決するのは元同居人や現同居人や刑事さんだけど、謎を解明して読者を唸らせるのは正太郎の観察力と推理力です。 見聞きした人間達の会話や犬猫仲間との会話から推理を導いていきます。 人間の言葉をしゃべれないのが本当に残念!

犬猫仲間達も個性豊かで楽しいです。 親友のチャウチャウ犬サスケ、ご近所猫の金太、正太郎のマドンナことライラック・ポイントのトマシーナ、などなど。 特にトマシーナは魅惑的で賢い! これは一作目のネタばらしになっちゃうけど、大好きな飼い主の婚約者に嫉妬して色々小細工しちゃう知恵があります。

元同居人で育ての親の浅間寺竜之介や現同居人の桜川ひとみもいい味出してます。 前者は比較的売れてるミステリ作家、後者は売れないミステリ作家で、それぞれに事件解決に力を発揮します。 浅間寺竜之介は正太郎が手助けするまでもなく、一人で事件を解決していきます。 桜川ひとみは普段はちょっと正太郎との意思疎通ができていない(もしくは正太郎の意思を無視している)面があるのですが、事件解決の際は正太郎の行動やヒントに反応し、解決に向けて動きます。 正太郎とはなかなかいいコンビなのです。

このシリーズ、面白いですよ! 猫好きの方には特にオススメ♪

シリーズ書名
「ゆきの山荘の惨劇―猫探偵正太郎の登場―」
「消える密室の殺人―猫探偵正太郎上京―」
「猫は密室でジャンプする―猫探偵・正太郎の冒険1―」
「猫は聖夜に推理する―猫探偵・正太郎の冒険2―」
「猫はこたつで丸くなる―猫探偵・正太郎の冒険3―」
「猫は引っ越しで顔あらう―猫探偵・正太郎の冒険4―」


「ビブリア古書堂の事件手帖」三上延 2013.02.01

昨年4月に図書館に予約し、9ヶ月待ってようやく読むことができました。 予約した時点で百何十番だったかの待ち行列でした。 今年はTVドラマにもなったし、さらに人気アップしたことでしょう。 ちなみに、1巻目読了後に2巻と3巻を予約しましたが、2巻は99番目、3巻は133番目でした。 手元に届くのは何か月後でしょうか?

ビブリアの店主が店番しながら事件解決、というストーリーかと思いきや、店主は骨折して入院中の身ではありませんか! まさしく安楽椅子探偵です。 本が好きだけどトラウマがあって読めない主人公が、朴訥とした良い味出してます。

主人公のおばあさんの大切な本のエピソード、奥が深くて怖いほどです。 過去の秘密をほじくり返してしまった主人公、後悔しただろうなぁ。 まだドラマ未公開のストーリーの、あっと驚く伏線も仕込まれています。

まだTVドラマは見ていません。 ドラマのヒロインは剛力さんという女優さんなんですね。 最近、どの人が剛力さんがわかるようになったんだけど、元気一杯のイメージで、ビブリアの店主役はなんだか似合わない雰囲気。 どちらかというと、店主の妹役の方がハマりそうに思いました。


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