今月読んだ本 | 「舟を編む」三浦しをん | 「月の輝く夜に」氷室冴子 |
今月読んだ本 | 2012.10.31 |
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今月はあまり本を読まなかった。 これから編み物シーズンなので、冬の間の読書は編み物本限定になりそうです(^^ゞ |
「舟を編む」三浦しをん | 2012.10.12 |
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辞書の編纂作業に携わる人々を描いた小説。 とても面白かった! 皆さんにもお勧めしたい小説です。 大手総合出版社の玄武書房の辞書編集部では、新しい辞書「大渡海」を15年間かけて編纂した。 「大渡海」の企画をたてながら定年を迎え、嘱託として携わった荒木。 その荒木に跡継ぎとして探し出された馬締(まじめ)。 途中で広告宣伝部に移動になった西岡。 ファッション雑誌から異動してきた岸辺。 出版間近で人生を終えた監修者の松本先生。 彼らの人生と、辞書への思いと情熱が沢山詰まった小説です。 構想15年って、考えてるだけで15年?って今まで疑問に思ってましたが、そうじゃないんですね。 ひたすら準備をし続けて15年。 子供が生まれてから中学校を卒業してしまう時間です。 そんなに長い時間が、一つの辞書を編纂するのにかかるということ。 今まで考えたことがありませんでした。 用例採集カードを手放さず、新しい使い方を聞いたとたんに記録する編集委員たち。 日常の地道な努力の積み上げで、辞書は成り立っているんですね。 とにかく辞書の編纂について知らないことだらけで、感心してばかりでした。 紙だって、辞書のために特別に開発されているなんて知らなかった。 今まで辞書を捲る時に薄いなとは思っても、辞書ごとの専用用紙だなんて考えたこともなかった。 やっぱり紙の辞書は大切ねとも思いました。 私は新明解国語辞典を愛用していますが、最近は手軽なWeb辞書に流れて、紙の辞書を引いていなかったかも。 web辞書はちょっと調べる時に使うもの。 紙の辞書はじっくり調べたい時に使うもの。 今の私にとって、Webと紙はそういう使い分けかな? 紙の辞書を読む楽しみをたまには思い出さなくてはいけませんね。 |
「月の輝く夜に」氷室冴子 | 2012.10.06 |
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今年久々に発売された、故、氷室冴子さんの短編です。 元は1990年に月刊コバルトで発表された小説で、2005年に加筆し再掲されたものが、このたび初めて文庫化されました。 氷室さんお得意の平安物ですが、いつもの氷室さんの平安コメディとは全く異なる雰囲気の作品です。 表紙及び挿絵は、今市子さんのイラスト。 文庫本を手に取った時点では平安コメディと思っていたので今市子さんのイラストに違和感があったけど、読後は小説の雰囲気にピッタリのイラストと思いました。 読んだ感想は、人生はむなしい、という無常観というか諦観というか。 人それぞれですので、私とは違う感想を持つ人もおられると思います。 今回出版された文庫本は「月の輝く夜に」と「ざ・ちぇんじ!」のカップリング。 諦観漂う作品の後に元気のよい「ざ・ちぇんじ!」を読む気にはなれませんでした。 未収録作品を出版してくれたのは嬉しいけれど、カップリングはもうちょっと考えてほしかった。 良品を沢山残してくれた氷室さんを偲びつつ、しばらくは「月の輝く夜に」の読後感に浸ろうと思います。 |