当院の方針

当院の方針

すこやかこどもクリニックの理念「患者さん、ご家族の気持ちに寄り添い、
良質な医療を提供する。そのことで、地域に貢献する。」を実践します。
「良質な医療を提供する」とは、丁寧な問診や診察をもとに、お子さんに必要な検査や処方を行い、必要ではないことは行わないことと考えています。良質な医療として提供すべきことをご説明し、
ご理解・ご納得していただけるように努めます。

日常の診療で遭遇する具体例を 2 つ挙げますのでご覧ください。

具体例 1   「その抗生剤本当に必要ですか?」

「お気持ちに寄り添う」というのは、例えば、「熱が出たから抗生剤が欲しい。」とか、「鼻水が黄色いから抗生物質がいるのではないか?」というご要望があれば、無条件に抗生剤を処方するようなことではありません。
抗生剤は細菌感染の治療薬で、大切な薬剤です。
発熱=細菌感染ではありません(もちろん発熱の原因が細菌感染の場合もありその鑑別は重要です)。
また、「かぜ」のほとんどはウイルス感染で、ウイルス感染には抗生剤は全く無効です。
一方で必要のない時に安易に漫然と抗生剤を服薬することは、鼻・のど等の気道や、消化管内に元々たくさん存在している常在細菌に影響し、耐性菌(抗生物質が効きにくい菌)を誘導することが、以前から大きな問題になっています。
「今、本当に、抗生剤は必要なのか?」と考えることは大切なことです。
当院では、抗生剤は必要な時には説明の上、きちんと服薬していただきます。

具体例 2   「そのアレルギー検査は       本当に必要ですか?」

「蕁麻疹が出たが、原因がわからないから、アレルギー検査をしてほしい。」・「今後アレルギーが出ないか心配だからあらかじめアレルギー検査をしておきたい。」これは一般の方は普通に思いつかれることだと思います。
同様に近年、一部の他科や小児科クリニックで、念の為とか、せっかくだからと、「微量の血液で多種のアレルギー検査ができるからどうですか。」と勧められたと、おっしゃられる方が増えています。
しかし、例えば「鶏卵」をそれまでいっぱい食べても何も症状が出たことがない方でも、検査をしてみると「卵白」は陽性ということはあります。その場合「陽性」でも「除去」する必要はないので、検査の意味はないばかりか、不必要な不安を生じたり、不必要な除去につながるおそれもあるのです。
また、食べたことがないものをあらかじめ検査してみると、結果が「陽性」になることもあります。しかし、その検査結果を根拠に、食べたことがないものも除去することは推奨されません。あくまでも症状がある場合に除去は考えるべきものなのです。
さらに、逆に特定の食材のアレルギー検査が陰性でも、将来までその食材でアレルギーを生じない保証にもならないのです。
小児アレルギー専門医を名乗り、どんどん検査を勧められるクリニックもあるようですが、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会ともに、食物アレルギーの原因食品の診断法として、血液検査で IgG 抗体検査を行うことを、公式に否定し、注意喚起を行っています。(学会の公式 HP にも掲載されています。)
もちろん検査が有用でその後の方針決定に役立つ場合もありますので、検査の必要な状況か、むしろ検査をしないほうがよいのかを、きちんと説明し、理解していただくことこそが、良心のある小児科医の勤めと考えます。

これらの具体例で挙げているご要望は一般の方からすると普通に生じてくる、不思議なものではないものです。 また、他の医療機関で勧められ、こうすべきと示唆されているような場合もあります。 しかし「良質な医療を提供する」観点からは、大切なことは、「お子さんに必要なことを行い、 必要ではないことは行わない」ことです。良質な医療として提供すべきことを丁寧に説明し、 ご納得していただけるように努めます。