旧海軍飛行機プラモデル4ページ
旧海軍飛行機(小型水上機)


海に囲まれた日本は水上機では、他国に比べられない名機が多いと思います。
水上機は全て好きですが、強いて挙げれば『強風』『紫雲』『九八式水偵』が好きです。

ここの最新作は、上から2番目の小型飛行艇『九八式水上偵察機』です。
飛行艇といっても小型で、エンジンも1基と可愛いらしい造り。
でも、形状と雰囲気は作っていて愉しい物でした。(お薦め品)

一番下に、戦時中の
水上機生産数一覧表を製作しています。

 川西 九四式一号 水上偵察機 (E7K1) 軽巡『鬼怒』搭載機
長谷川製作所 72分の1 製品番号 NP2 定価 1200円

 昭和9年に制式採用され、太平洋戦争直前まで生産されました。当時の記録によれば、同時期の他国水上機より性能が抜きん出ていた為、
ドイツからはライセンス生産の打診があったらしいです。戦艦・重巡など射出機から発進して、帰還後はデリックで吊上げて格納していました。(1934〜40)

全幅 14.00m、 全長 14.41m、 全高 4.55m、(乗員3名)
翼面積 43.6u、 全備重量 3000kg、 最高速度 239km/h
武装 機首7.7mm機関銃2挺、 後部旋回機関銃1挺
 愛知 九八式水上偵察機 (E11A1) 巡洋艦『那珂』搭載機
フジミ模型 72分の1 製品番号 C−11 定価 1800円

 昭和13年に夜間偵察機として制式採用されますが、わずか17機しか生産されなかった
小型飛行艇。艦船に搭載され、哨戒・偵察・着弾観測などに使用され、主な活躍に、マレー沖海戦でのプリンスオブウェールズを撃沈した際の偵察が記録されています。(1938〜45)

全幅 14.49m、 全長 10.71m、 全高 4.52m、 (乗員3名)
翼面積 46.4u、 全備重量 3297kg、 最高速度 217km/h
武装 前方7.7mm旋回銃1挺
 三菱 零式水上観測機 (F1M2−K) 鹿島航空隊所属機
フジミ模型 72分の1 製品番号 C−24 定価 1500円

 昭和14年10月に制式採用され、艦隊同士の砲撃戦で、
着弾観測を主任務として開発されました。複葉の機体でありながら、卓越した空戦能力を誇り、最高速度は水上機として当時最速といわれました。重量が軽く、機敏な操縦が好評で、零観(ゼロカン)の愛称で親しまれていました。(1939〜45)

全幅 11.00m、 全長 9.50m、 全高 4.00m、(乗員2名)
翼面積 29.54u、 全備重量 2550kg、 最高速度 370km/h
武装 機首7.7mm固定銃2挺、 後上方7.7mm旋回銃1挺
 中島 二式水上戦闘機 (A6M2−N) 第902海軍航空隊
LS
 72分の1 製品番号 1004 定価 200円

 昭和15年、
南方基地用水上機の製作を中島に依頼。水上機製作に経験豊富な中島に、零戦を原型とした改造試作を指示しました。昭和17年7月には制式採用され、滑走路の建設不能な場所や孤島などに配備され、制空権の確保と偵察に活躍しました。(1942〜45)

全幅 12.00m、 全長 10.10m、 全高 4.30m、 (単座)
翼面積 22.44u、 全備重量 2460kg、 最高速度 436km/h
武装 主翼20mm固定2挺、機首7.7mm固定2挺、60kg爆弾2発
 川西 十四試高速水上偵察機 紫雲 (E15K1) 試作後期型
アオシマ文化教材社 72分の1 製品番号 No4 定価 600円

 昭和14年に一社特命で発注され、三菱「火星」という強力トルクのエンジンを採用し、開戦3日前に完成。高出力のトルクを打ち消すため、国内初で二重反転プロペラを採用。中央の単フロートは投棄可能とし、翼端フロートも離水後は内側に引き上げられる斬新な設計。昭和18年8月に制式採用されますが、
試作機を含め15機しか生産されませんでした。(1943〜45)

全幅 14.00m、 全長 11.56m 、 全高 4.95m
全備重量 4100kg、 最高速度 468km/h  (乗員2名)
武装 後ろ上方7.7mm旋回銃1挺、 爆弾60kg2発
 川西 水上戦闘機 強風(後期型)(N1K2) 佐世保航空隊所属機
長谷川製作所 72分の1 製品番号 AP37  定価 1500円

 昭和18年12月に制式採用されますが、本来の目的である、陸上基地施設の無い場所での
基地建設時の制空権確保という役割を果たす機会は、ほとんど在りませんでした。しかし、その後の局地戦・紫電改に発展して活躍します。(1943〜45)

全幅 12.00m、 全長 10.59m、 全高 4.75m、
全備重量 3500kg、 最高速度 482km/h、 (乗員1名)
武装 翼内20mm2挺、 機首7.7mm2挺
 愛知 水上偵察機 瑞雲11型 (E16A1) 横須賀航空隊所属機
フジミ模型 72分の1 製品番号 C−30  定価 2800円

 昭和18年8月、
急降下爆撃も可能な特殊水偵として採用された奇抜な機体です。開発当初、索敵兼爆撃などが出来る高機能な機体を目指した為に実用化が遅れ、戦局の悪化から夜間攻撃など実力を出せず、最後は特攻機などにも転用されました。(1943〜45)

全幅 12.81m、 全長 10.83m、 全高 4.79m、
全備重量 3900kg、 最高速度 439km/h、 (乗員2名)
武装 翼内20mm固定砲2門、 後上方13mm旋回銃1挺
 愛知 特殊攻撃機 晴嵐 (M6A1) 第631空所属機
田宮模型 72分の1 製品番号 No37(ウォーバード) 定価 900円

 潜水艦を母艦として海中密かに目標に接近、搭載した機体をカタパルト発進させて奇襲を加える。
現代の戦略ミサイルの原点といえる発想を確立していました。昭和20年7月、敵空母部隊壊滅にウルシー(主力空母泊地)攻撃に向かいますが、攻撃準備中に終戦の報せが届きました。(1945)

全幅 12.262m、 全長 11.64m、 全高 4.58m、
全備重量 4250kg、 最高速度 474km/h、 (乗員2名)
武装 後上方7.7mm旋回銃1挺
 愛知 17試特殊爆撃機 南山 (晴嵐改)(M6A1−K) 試作機
田宮模型 72分の1 製品番号 No38(ウォーバード) 定価 900円


 晴嵐は試作機を含めて28機が生産され、そのうちの2機は引き込み脚を付けた陸上機型でした。開発経緯には諸説が在り、晴嵐の練習用というのが近い気がします。外見の大きな違いは、フロート未装備の重量バランスをとるために、垂直尾翼の上端を撤去している処です。(1945)

全幅 12.267m、 全長 11.640m、 全高 4.10m
全備重量 不明、 最高速度 560km/h(予定)  (乗員2名)
武装 不明

海に囲まれた国という事から、水上機の名機は数多く生産されています。
戦争の多極化により、活躍の場は少なくなってしまいますが
『晴嵐』は秀逸だと思います。

水上機の戦時中生産数一覧表

型式年度 1941 1942 1943 1944 1945 総生産 製作所
 二式水戦 112 211 323  中島飛行機
 強風 91 97  川西航空機
 零式観測機 17 218 550 220 1005  三菱・大村空技廠
 零式水偵 14 284 555 544 23 1420  愛知・九飛・広工廠
 紫雲 15  川西航空機
 零式小型水偵 65 61 129  九州飛行機
 瑞雲 216 32 256  愛知・日本飛行機
 晴嵐 14 11 27  愛知航空機

生産年数が上記プラモデルの説明と多少ずれているのは、採用(使用)された年となるからです。
一覧表を作るまで、零式水偵(1420機)と零観(1005機)がこんなに生産されていたとは思いませんでした。
この一覧表は、
光人社NF文庫 『軍用機開発物語』P153を参考に製作したものです。。
とても良い本で、軍用機を設計者側(土井技師・曽根技師など)の視点から見て書かれています。
その他の軍用機データや展開図・写真なども多くて、資料的な物としても御薦め本だと感じています。