【THOMASIMA】 著:ポール・ギャリコ 石のように非常な心臓、かたくなな意思、そして人並みはずれた身勝手さ。自らの人生に対する挫折感。医者になりたくて、父親の意向に背けずに獣医となったが故の仕事に対する侮蔑の感は、そのまま、診療所を訪れる甘やかされ放題のペットやその飼い主に向けられる。仕事に誇りを見いだせず、動物に愛情も関心も持てない彼は、妻を失って以来、溺愛してきた娘、メアリ・ルーの飼い猫トマジーナが病気になった時、安楽死を選択する。 しかし、尊大で不遜、無神論者な彼一番共感できる辺り私も、なんともはや。子供なんて、無自覚に残酷で狡猾だから嫌いだ。
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