【しゃばけ】　著：畠中恵
　　　　　　　　　新潮文庫

推理小説史上まれな、病弱探偵。
江戸有数の回船問屋「長崎屋」の一人息子、一太郎はめっぽう体が弱い。季節の変わり目には、体調を崩し。死ぬか生きるかの大騒ぎ。
そんなもんで、大福餅の上に砂糖をてんこ盛りにして、この上から黒蜜をかけたみたいに甘い二親に、これまた、一太郎、の御身大切な手代の佐助に仁吉に囲まれて。
周囲の異常な愛情に育まれながらも、真っ当に育った一太郎は、ある夜偶然殺人現場に居合わせた所為で、なし崩しに事件に巻き込まれていく。若旦那と若旦那が無事なら、他に何人殺されたってかまやぁしないどこかずれてる手代たちと共に、連続猟奇殺人犯に立ち向かう。

作者の、畠中恵さんが漫画家だった、（過去形で良いのかしら）だけあって、全体に造りがとってもコミカルなノリ。読んでいて絵になりやすい。宮部みゆきに通じるところがあるけど、また、一風変わった設定が物語りを盛り上げています。日本ファンタジー大賞　優秀賞受賞作。ご一読あれ。

「わたしらは、若旦那が無事ならそれでいいんで」
おい、おい。