【異形の花嫁】 著:ブリジット・オベール
        早川文庫

あたしは28歳、名前はボー。髪は黒々と波打って腰まで届く。体つきは華奢で小柄。
見かけは女そのもの。そして、ジョニーを愛している。
男の肉体に女の心。そして、トランスセクシャルのボードワンが愛する男、ジョニー。女にしか興味がないジョニーから与えられるのは暴力と苦痛のみ、それでも、ボーはジョニーを諦めることが出来ない。
やがて、彼女の周りで娼婦が残虐な手口で殺されていく。そして、殺人現場の壁に残された[BO]の文字。警察から容疑をかけられたボーは事件を探って行くが、

せつなく、いとおしく、グロテスクな愛。
との、帯のあおりに乗せられて思わず購入してしまった一品。
猟奇的なシーンや主人公の人格形成の肉付けの上で必要であったの、かもしれない父親の幼児趣味はどうか、とも思うが。
とにかく、いかれた殺人鬼とトランスセクシャルのボーのグロテスクで暴力的な純愛。一見マゾヒズムにみえるボーだが、あくまでも、しぶとく、たくましい。彼女を支配しているかにみえるジョニーとの関係も、どちらが追う者で追われる者なのか曖昧になり、渾然と混ぜ合って、そして、終演は。