【ミッドナイト・ブルー】 著:ナンシー・A・コリンズ
               早川文庫

月よ
大きな白い月
ミルクのように白い月よ
私の大きな月

ミルクのように白い月
血のように赤い月よ

吸血鬼。
Tシャツの上に黒の革ジャン、美しいその瞳は常にサングラスで覆い隠され。彼女が歩くのは、湿っぽくカビの生えた中世ではなく。現代のアメリカ。
しかし、そこは吸血鬼、人狼、オーグル達が人の姿をまとい闊歩する〈新世界〉と重なり合りあった世界であった。

自分を化け物に変えた〈父親〉に復讐を遂げるために、ソーニャは〈偽装者〉を狩り続ける。
彼女の中のもう、二人の人格。
吸血鬼になる前の無垢で愚かな娘デニーズ。
そして、〈彼女〉
名前さえ持たない〈彼女〉は殺戮と破壊を好み、あらゆる秩序から解放された化け物であり。真の意味での吸血鬼であった。

ところで、この小説、ひろき真冬さんのクールでエロティックなイラストがたまらないんですわ。その描線は緻密で硬質、非常に無機的な世界なのにエロくてそそるのはなぜ?
うらやましいです。はい。

セックス、暴力、そして、暴力的なセックス