【グリフィンの年】 著:ダイアナ ウィン ジョーンズ 組織的観光旅行が廃止されて8年。大学はいくらか若めの魔術師からなる委員会によって運営されており、 授業料値上げのために生徒は激減、資金不足のために大学の福利厚生はそっちのけ、学食はひたすら、まずい。そんな事態を打開すべく、ちょっぴりの栄誉を餌に生徒の父兄に寄付金を無心したところ、これがとんでもない事態に。
そして芽生える恋。 が、あいては、あのおっかないケリーダと同じ血筋をひく娘さん。ブレイド君の恋は前途多難。そして、成就した後は、先ず間違いなく尻にひかれる運命に。ここのところ、とうちゃんのダーク氏とまるで同じ道を進まれることでしょう。さすがは、親子です。たとえ、世界最強の魔術師であろうと、世界の危機より家庭の危機を最優先。そして、妻に頭があがらない大魔術師。 私の愛するキット君は、随分落ち着いた雰囲気になって今回、あまり活躍の場がありませんでしたが。かわりに、【グリフィン】の一押し人物はコーコラン教授。 恋するエルダのかわいいぬいぐるみ、こと、月を夢見るコーコラン教授の現実に追われた一抹の悲しさに共感出来てしまう辺り、自分も随分大人になってしまったんだと、感傷深く思います。 考えてみれば悲しいことだ、とコーコランは、紙の山を高く高く積み上げながら思った。若い人は全世界が自分の前に開けた気分で、輝かしい希望で一杯になって大学に来る。だが、三年がおわるころには、大半は単なる有能な魔法使いとして、幾ばくかの金が稼げる仕事を必死に探すだけになる。自分にもこういう時があったのをコーコランは思い出した。入学したばかりのころは、魔法が偉大なモノを提供してくれると思っていたのに、 今となっては、どんなモノだったか思い出せない |