【鉄輪】 鉄輪(かなわ)とは昔、火鉢の中に置いた五徳のことで、鉄の輪に三本の足を付けたものです。ヤカンなどを乗せて湯を湧かす為のものですが、この鉄輪を逆さまにしてその足にロウソクを結びつけ、火をつけたそれを頭に乗せ、白装束、髪を振り乱し、白化粧、濃い口紅、口には櫛をくわえ、胸には鏡を提げ、丑の刻に貴船神社に参り杉の大木に添えた藁人形に五寸釘を打ち込み呪う… と、まあ、何のことはない、丑の刻参りなんですけど、壬生はとりあえず、嫉妬深いというイメージが付きまとうので書いてみました。私は、そんなに嫉妬深いとも思ってないですけどね。イラストにおこすと、服装からして、そういうシチュエーションが似合うんです。 嫉妬のあまり、男の…を…と言うと、阿部定とか、サロメを思いだしたりするんですが、壬生も怒らせたら結構怖そうです。 手にしているのが、鬼の首か、瀬戸の首かはご想像のままに。 ところで、【鉄輪】については、夢枕莫さんが、著書の「陰陽師」シリーズで【生成り姫】との題で扱われているのですが、これは、もう、鬼になってしまう女の哀しみが切々と描かれていて切ないです。夢枕さんの作品は情景描写が淡々としていながら繊細で、言葉が響いてくるのです。 |