壬生屋は瀬戸口の部屋のドアをノックした。鉄のドアだ。早朝の冷気をすって、冷たかった。瀬戸口は顔をしかめ、酒のにおいをさせながらドアを開いた。
「たいがいにしろ。何時だと思ってやがる」
「お願いです。眠らせて」
瀬戸口は目をこすった。壬生屋はとがった顔をしていた。やつれていた。
「まあ、いい。入れ。今日は一人だ」
壬生屋は瀬戸口の軽口に反応を示さなかった。ブータが神妙な顔をして瀬戸口を見上げる。
部屋にはいると、壬生屋は日本刀を取り出した。
「すみません」
小さく頭を下げ、乱れている瀬戸口のベットの隅に横になった。
瀬戸口は壬生屋が胸に抱いている鉛色した日本刀を唖然と見つめた。
「そんなモノを抱かなければ眠れないのか?」
「これとブータ以外は、信じられないんです」
「俺も信じられんのか?」
「ごめんなさい」
瀬戸口は肩をすくめ、朝日の射し込む東の窓を向いた。カーテンを引く。
室内が暗くなると、壬生屋はすぐに小さな寝息をたてはじめた。ベット際で、ブータも頭をたれた。
瀬戸口は目やにをほじくった。あくびをした。壬生屋の横に腰を下ろした。
体温がちかずいた。壬生屋はぬくもりの方向に体を寄せた。瀬戸口が何か小声でささやいた。
頭に腕があたった。夢うつつのなかで壬生屋は、瀬戸口が腕枕をしてやると言っていることを理解した。
壬生屋は瀬戸口の二の腕に頭をのせた。瀬戸口の匂い。壬生屋は瀬戸口の腋下に顔を押し当てるようにした。瀬戸口の匂いは壬生屋のとがって緊張した心を安らがせた。それでも、しっかり右手で日本刀を握っていた。
続きが気になる方は(そんな人いないか…)花村萬月の「紫苑(葬られし者、その血によりて)」を読みましょう。登場人物を入れ替えただけです。
ちなみに、今私的に、瀬戸壬生がブーム、でも、甘くない。不毛な関係(いつもの私のはまりパターン)
こんなくだらないもの書いてないで、エロ馬鹿バイオレンスなギャグが書きたい。でも、こればかりは、向き不向きというか、才能無いからな〜
SSが書ける人羨ましいです。
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