【戦争を演じた神々達】著:大原まり子 【戦争を演じた神々達】のなかから、【女と犬】 「いつか、支えきれなくなる。どうやったって、やっていけなくなるよ。あなたの優しさにつけ込み、つけ込んでいることにさえ気づかない愚劣な甘えん坊の群に、押しつぶされるんだ……しかし、ここは暑いな」 「思い出したわ…私は試みに引きまわす…。じゅうぶんに優しいかどうか、そして、優しく振る舞えるだけの強さをふまえているかどうか…それを、ずっとずっと長い間…確かめているのよ」 「いったいぼくは、何万回くたばったことだろう。毎度毎度、ろくな死に方をしなかった。多くは殺された。そして、死ぬまでに多くを殺した…もう、飽き飽きだ。なんて、残忍で無惨なんだろう」 「…これは、裏切りの物語」 「人の手の優しさを信じないことの不幸よ…」 「…フゥ。最低の気分だ…なんで、生き返らせたの」 「愛しているから」 |