【町で一番の美女】 著:チャールズ・ブコウスキー 新潮文庫
気分が低迷しているときに読むと、さらに落ち込むか、あるいは居直って吹っ切れるしかない物語。ストーリーはないに等しく。本能のままに書き散らかしていると言っても良い。これで、作者は郵便局員(公務員)なんだから、世の中どうかしている。酒を愛し、女に溺れ、どうしようもなく救いのないろくでなしな男の哀しいまでに刹那的な性愛。 下品きわまりないフレーズの数々の中に埋もれる透き通った言葉。 それは、黒く淀んだどぶ川の表面に浮かぶ油膜が光りを反射してキラキラときらめくよう。 けして、名作、とか文学との形容には当てはまらないが、惹かれる物があるのです。
そう言えば、私は、この作者の言い回しが好きで、たまに、自分の駄文の中に引用(流用)しています。
知らず知らずに彼女は自分を開いた それは、荒廃したどうにもならない世界へと飛び去ってしまうことでもあった 分裂症 美しい魂の分裂 いつか誰かが、何かが、彼女を永遠に滅ぼすこととなるだろう 私はそれが自分ではないことを願った