2004.3 .15更新


 

有名人鑑定ファイル

CHART NO.2 オードリー・ヘップバーン

チャート・ファイルの第2番目は映画「ローマの休日」で世界中の映画ファンを魅了し、今も若い女性に根強いファンが多いオードリー・ヘップバーンです。今回も、前回同様に彼女のチャートからコンフュギレイションがどのように運命に作用したかを見てゆきましょう。

このチャートには、特徴的なコンフュギレイションが4個存在しています。その第1は月-太陽-冥王星から出来た傘型、第2は土星-月-海王星-水星によって出来たメディエーション&T-クロス、第3は土星-金星-海王星からなるグランド・トライン、第4が土星-水星-火星によって形成されたヨードということになります。

この中で映画女優だった彼女の容姿と演技に関わる魅力は、第8ハウスを支配しつつ第5ハウスに在住する冥王星と第5ハウスを支配しつつ第1ハウスに在住する月によってできた傘型コンフュギレイションによってもたらされました。そして、その中の第1の要素である冥王星の主たる役目は、性を扱う第8ハウスの要素が創造・演劇・芸術を表す第5ハウスに強く影響を与えながら、同時に自己の内的欲求を表す太陽ともセクスタイルアスペクトを形成しているところにあります。この8ハウスと5ハウスの関係は映画スターに最も多く見られる配置で、実際、有名となった女優にこのパターンはしばしば見られます。また、第2の要素である月は第5ハウスに特有の創造的態度が第1ハウスの示す人生の基調となり得る非常に重要なパターンです。つまり、これは情動的な態度を表現したい欲求を表すもので、彼女が映画スターへと変身してゆく上にはなくてはならない星だったといえるでしょう。特に、月は上昇点に接近して上昇星としての役目を遺憾なく発揮し、大衆の注目を浴びるに相応しい女性としての優れた容姿を授けています。これが彼女の魅力の源泉といって間違いないでしょう。ところで、ここで注目しなければならないことは、傘型パターンは大きな成功への潜在力を示すコンフュギレイションではあっても、それだけでは決して真の成功には至らないということです。これには、必ず優秀なスクエアの関与が必要で、ヘップバーンの場合も第3ハウスを支配し第3ハウスカスプに重なる水星が月とスクエア・アスペクトを形成し、誰かにコミュニケーションしたい強い欲求が、映画スターとしての成功の原動力となったことを示しています。

第2のコンフュギレイションはメディエーション&T-クロスです。これは、T-クロスによって調停のパターンが活性化される成功の基本形です。このとき、重要となるのは月と海王星によってできたオポジション軸です。彼女の場合も情動の星である月と神秘や芸術を示す海王星の働きが人生の開運にとって大きな役目を果したことが誰の目にも明かでしょう。特に、海王星は映画界を象徴する星であると言われており、この海王星が第1ハウスを支配して第7ハウスのカスプに密接に重なっていることは、映画界との絶えざる交渉があることを物語っています。また、メディエーションの頂点となった惑星の土星は第1、第12、第11ハウスを支配して第11ハウスにあります。これは、運命や内面意識、人生の願望といったものが、友人、グループと関わることで開かれてくる暗示で、ここでも土星がトラインで海王星と関係することで、映画界との長期の関係が築かれてゆく表れと読めます。

第3のコンフュギレイションはグランド・トラインです。これは大幸運の徴といわれますが、実際の人生においてこのパターンが健全に働くためには、ハード・アスペクトの関与が不可欠です。ヘップバーンの場合もグランド・トラインの一角である海王星に月がオポジションでアスペクトしており、土星-金星-海王星のパターンが人生に有利に働いてくれることを物語っています。そして、この場合でもメディエーション&T-クロスのところで述べたように、月と海王星の軸が大きな役目を果しています。即ち、第1ハウス(自己)の月(情動)と第7ハウス(大衆)の海王星(映画界)との関わりが開運の鍵となるのです。

第4のコンフュギレイションはヨードです。これは、神の指となった土星の働きがキーポイントとなります。そして、土星がもつ2つのインコンジャクトの働きが見事に調整されるならば、ヨードを構成する他の水星と火星のセクスタイルのアスペクトが人生に効果的な力を発揮するパターンです。ヘップバーンは晩年になってユニセフの親善大使として餓えに苦しむ世界中の子供たちのために懸命に働きました。これは、第12ハウス(慈善)を支配しつつ、第11ハウス(組織・団体)にある神の指となった土星がユニセフという組織を通じて調整力を発揮し、水星と火星(精神的な活動、冒険的な事業)のセクスタイルが存分に働いた証拠でしょう。餓えに苦しむ子供と関わったのは、セクスタイルアスペクトの一角をなす火星が第6ハウス(悩み、健康)で蟹座という子供を養育し守護する星座にその位置を占めていたためです。しかし、ここでは詳しくは述べませんが、この火星は必ずしも星としてのコンディションには恵まれていませんでした。そのため、このボランティア活動が大きな過労の原因となり、63歳での死という結果につながりました。彼女の第8ハウス(死の原因)は蠍座でその副支配が火星で第6ハウス(労働を原因とする疾患)にあります。これは、誰が見ても寿命には有利な配置とはいえないでしょう。

尚、このチャートにおけるタイプはロコモーション・タイプです。駆動力となる惑星は土星です。第1ハウスと第7ハウスが大きくハウス位置を占めており、魚座、牡羊座、乙女座、天秤座がインターセプトされています。従って、第1ハウスにある月、天王星、金星を読んでゆくときは、かなり慎重に星の作用を読まないと、知らず知らずに間違いを起こしやすいですから注意が必要です。

以上、オードリー・ヘップバーンのチャートを解析致しました。読者の皆様のチャートを読む参考になればと思います。