『卒業によせて』☆医療技術短期大学部12期生　森川涼子　

　この短期大学部に入学してからの三年間というのはとても短い期間でしたが、いろんな事を経験できたと思っています。
　初めての一人暮らしやアルバイト、硬式庭球部に所属しテニスも始めました。また、時間に余裕のある時には、近くを散歩することが好きになりました。
　私が三年生になる春に、気分転換と日頃の運動不足の解消に、友人と尾道を散歩することにしました。
その日の早朝は雨が降っていたのですがすぐにやみ、午前中は曇空でした。それでも私達は電車に乗り、尾道で観光マップをもらって古寺コースを少し回り道をしながらのんびり歩きました。尾道は私が想像していたような観光地という感じではなく、生活感にあふれていて、居住空間の中にたくさんの寺院が並んでいました。
歩く道はとても狭く、坂道や階段が多いため少し無言になりながらも、初めてみる景色を楽しんでいました。
　ある寺院を見学した次にどの道を歩こうかと考えていた時、立派なカメラを持ち、足元はランニングシューズをはいた一人のおじいさんが近づいてきました。
　そして私達を案内すると言い、なかば強引に歩き出しました。おじいさんは地図に載っている観光コ−スを全く無視し、道ではない道を通り、廃校前の小学絞や図書館、猫の絵が描かれた石のある場所なども含めて案内してくれました。
歩くスピードはとても速く、歩きながら尾道の事や自分の家族の話や最近のニュースについてなど、いろんな話をしてくれました。
尾道の街並みや寺院に咲く木花はとても綺麗で、おじいさんは記念に写真をとってくれました。夕方になり、おじいさんは夕食の時間だと言って家に帰ることになり、私達は駅への道を教えてもらって別れました。
　その後、駅の周辺で夕食をとり、くたくたに疲れて岡山へ戻りました。それから数日後、おじいさんから写真が届きました。
　とてもきれいな景色と、春らしいやさしい日差しの写った印象的な写真でした。
　たまたま訪れた尾道でしたが、おじいさんと出会ったことで、とてもよい思い出になりました。きっと今も尾道で、多くの観光者の案内や記念写真を撮っていると思います。
機会があればもう−度訪れてみたいなと思っています。