同窓生だより

『「あらたま」と私』
衛検1期生  唐下博子


 私が岡山大学医学部附属衛生検査技師学校の第1期生として,臨床検査を学び始めたのは昭和39年からですから,今から40数年前になります.当時,私達に「君たちは,検査の専門家として,自分の分野では誰にも負けず,誇りを持って生きて行きなさい」と事あるごとに励まして下さったのが藤原清先生(故人)でした.この藤原先生が私達卒業生の同窓会「あらたま会」を命名して下さいました.

 卒業生の皆様は「あらたま(粗玉)」のいわれを良くご存じだと思いますが,「未だ磨かれざる玉」すなわち「原石である皆さんは,おのれを磨く事によって光輝く玉になって欲しい」という願いが込められています.当時の卒業生の方達は,すでに退職された方もありますが,多くの方が医療の現場で技師長・部長・課長となられ,激動期の臨床検査部門で活躍し,岡山大学の卒業生として,社会的に大きな信頼を築いて来られました.
 その後技師法の改正に伴い,教育制度も3年制の臨床検査技師学校に移行され,昭和50年,縁あって私も母校に赴任致しました.この頃,一足先に一村光子先生も赴任されており,我々は学生達から「鬼の一村・魔の唐下」と恐れられておりました.技師学校時代は校長先生1名,教務主任1名と専任教員3名のスタッフのみで,多くの非常勤の先生にお世話になりました.

 その後,岡山大学は医療技術短期大学部,医学部保健学科(4年制),大学院保健学研究科修士課程,大学院保健学研究科博士課程が設置され,専任の教員数も増し(教授8名,准教授4名,助教6名),優れた学生達に恵まれました.調度,平成20年3月,博士課程第1期の卒業生を世に送り出しました.これから本当の意味で,岡山大学として,高等専門教育の真価が厳しく問われます. 私はこの教育課程の変遷のまっただ中を一村光子先生と共に,多くの先生方,学生さん達と同じ時間を共有して過ごし,新しい臨床検査教育の歴史を,身をもって体験出来たことを心から感謝しております.

 私が就職担当となりましてからの14年間は,学生さん達から多くの事を学びました.最後までくじけず,就職試験を頑張り通して,卒業式間近に「合格通知」をいただいた学生さんとは,肩を抱き合って喜び合いました.一生忘れられない思い出です.また,多くの卒業生の方から,学生の就職に関して,いつも暖かな眼差しで応援していただきました.感謝の気持ちでいっぱいです.母校での33年間を振り返りますと,皆さんと過ごした1日1日が私の「かけがえのない宝物」です.日本の社会情勢,医療事情,教育体制も大きく様変わりしております.臨床検査に携わる卒業生の皆様あるいは他の分野に進まれる方々も,これから様々な壁が立ちはだかると思いますが「あらたま」の心を忘れず,良識ある人としての品性,医療人としての感性をいっそう磨いて下さい.皆様のご活躍をいつも応援しております.

     囀りや かすかにまとう 風衣     ひろ子

<卒後1年>
杉浦 英祐

 

月日の流れとは本当に早いもので、ついこの間に卒業したかと思えばもう1年が経ちました。多くの同級生達は病院や企業に就職し社会人として新たなスタートを切る中で、私は岡山大学の修士課程に進学し、更なる研究を続ける道を選びました。

現在、私はヒトが音楽を聴取する事で変化する体の成分について研究しています。音楽は心身医療または緩和医療に利用されていますが、はっきりとした効果は特定されておらず、まだまだ研究が必要とされている領域です。私達の研究の方も手探りで進めているような状況で、問題に直面したり上手くいかないこともありますが、この研究が今後の医療の発展に貢献できることを信じて研究を続けています。

これから生きていくうえで、人生を大きく左右するような「選択」を迫られる場面が幾度となく訪れると思います。例えそのときにはわからなくても、振り返ってみればその選択が正しかったのかどうか判断することもできるようになるはずです。今私は、知識や技能だけでなく、医療従事者としての責任、そして未知なるものを研究する楽しさを教えてくれた岡山大学に入学したことは正しい選択だったと自信を持って言えます。今後も学生時代に得たものを忘れないように、人生における正しい選択をしていきたいです。


<卒後20年>
臨検15期生 塩見千晴
 


 小学生の甥にせがまれて「人生ゲーム」で遊んだりしている。私が子供の頃からすでにあったお馴染みのボードゲームだ。ルーレットをまわして車の形のコマを進め、家を建てたり結婚したり子供が生まれたりしながらゴールを目指す。

最近は人生ゲームにもいろんな種類があるようで、我が家にあるのは「お仕事発見人生ゲーム」。基本は普通のものと同じだが、お仕事発見では最初に夢の職業を決めてそれを目指す。ソフトボールチームに入っている甥っ子などは無邪気にプロ野球選手を選んだりしているが、私は結構現実的に考えてしまい我ながらつまらない。なんとなく医療職を選んだりして「ゲームなのに・・・。」と思う。しかし思い切って女子アナなどを目指してみてもどうもしっくりこない。

小学生の頃「学研の科学」を定期購読していた。あまり覚えていないが親にどうしてもと頼んだらしい。思い出深い「科学」も休刊になるとTVニュースで言っていた。時代の流れなのだろうがとても残念だ。

当時「学研の科学」には毎月素敵な付録がついていた。組み立てて電気で動く小さなロボット、コップについた指紋を採取する粉・血液に反応する液体などが入っている探偵セット、撮影して自分で現像もできるピンホールカメラなど・・・。

なかでも届くのを楽しみにしていた付録のひとつは顕微鏡だった。「タマネギの細胞」や「ネギの細胞」(ネギ類ばかりだ。薄切りにしやすかったのか?)の植物標本が一緒に付いていたのでそれを見たり、池の水やら蝶の羽やらを採ってきては覗いてみた。おもちゃの顕微鏡には当然限界があったので見本で掲載されている写真のように美しくは見えなかった。もっと本格的な顕微鏡なら見えるんだろうなあ、大人になったら自分で買おうと思った。

結局自分では買わなかったが今では見放題だ。「タマネギの細胞」のような植物細胞だけじゃなく「動物の細胞」も見たいなあと思っていたが、大人になった現在の私は毎日動物(人間の血液)の細胞を見ている。もしかしたら夢の職業に就いているのかもしれない。



 

<卒後30年>
臨検5期生  守分 紀子(旧姓 剱持)


 今、有機の野菜を作っています。病院をやめて10年になりました。

 主に夫の両親と3人でしています。畑の面積は34a、年間約30種類の野菜を栽培。玉島乙島地区は、高梁川の下流にあり、むかしから野菜の産地でした。青果市場も近くにたくさん並んでいます。

 有機栽培ですので、化学肥料、農薬が使えません。牛糞堆肥、菜種かす、骨粉など天然肥料を使っています。太陽熱消毒といって、夏気温が高いときに、湿らせた畑にビニールを張り、太陽の熱で虫や、病原菌を殺し、草の種を枯らして土を消毒。種まき、苗を植えたあと寒冷紗など網目状のおそいをかぶせる。いろいろ工夫しながら作っています。

 乙島地区有機無農薬生産研究会の名称で、7年前に有機JASの認証を取りました。メンバーは6名。とれた野菜は、ふれあい朝市「おなじみさん」やスーパーに出荷しています。

 先日、土づくりの話を聞きに行きました。野菜づくりで大事なのは土。土の肥料成分バランスを考えて、おいしい野菜を作りたいです。みなさん、地元の野菜、有機JASの野菜を食べてください。

SCMCという山の会に入り、登山でも自然を楽しんでいます。


 


〈岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻 8期生 卒業研究テーマ〉


【H21年度 前期】

1.ヘッドアップチルト時におけるAIxの時間変化解析 生体情報解析学(岡先生)
田島優里
2.筋音単収縮波形を用いた速筋トレーニング効果の評価に関する基礎的研究 生体情報解析学(岡先生)
木原理惠
3.正常胸腺と胸腺腫の免疫組織化学的対比 病理形態学(高橋先生)
普門拓己 吉村健太郎
4.単純ヘルペスウイルス粒子による細胞の活性化(ウイルス粒子表面糖鎖の関与) ウイルス学(荒尾先生)
安里真奈美 浦川優作
5.細胞内輸送解析に向けた遺伝子発現抑制効果の検討 医療保健情報学(池田先生)
倉田麻衣
6.エンドソームの位置を決める遺伝子の発見〜ガン細胞増殖・転移制御の可能性〜 医療保健情報学(池田先生)
佐古朱
7.ヘパリンカラムによるApoE-AUヘテロダイマーの精製 病態化学解析学(臼井先生)
清川菜々恵 村上明
8.血管形成術後再狭窄モデルにおけるα6(W)鎖の役割 臨床病理学(草地先生)
香川菜摘
9.関節軟骨バイオイメージング用ナノプローブの開発 臨床病理学(草地先生)
大丸奈月
10.呼気凝縮液中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性と濃度の検討 生体機能学(片岡先生)
山田修
11.シャトルベクター pHel2, pHel3を用いたGFP蛋白遺伝子の細菌細胞への導入の基礎的検討 病原細菌学(横田先生)
城之内芳枝
12.マウス血管内皮細胞における HSP60 と MHC classUの発現解析 病原細菌学(横田先生)
安井優太郎
13.いろいろな悪性腫瘍で発現するタンパク質 遺伝子解析学(石川先生)
野口裕太郎 福永桃子
14.T細胞機能におけるセレクチンの役割 血液検査学(柴倉先生)
濱田永
15.脳におけるIgGFc受容体の局在 高次機能解析学(岡本先生)
土屋友里



【H21年度 後期】

16.電子顕微鏡を用いたR8の気管硝子軟骨への集積観察 臨床病理学(草地先生)
坂本かおり
17.動脈硬化進展における薬剤効果の検討 臨床病理学(草地先生)
吉田鈴夏
18.遺伝子増幅法によるTTVDNA検出法 ウイルス学(荒尾先生)
久富大樹
19.精神的負荷による唾液酸化還元電位の変動に関する研究 ウイルス学(荒尾先生)
林原佳代子
20.Dynamin阻害剤であるDynasoreの類似体におけるアクチン重合阻害効果の検討 医療保健情報学(池田先生)
磯田美穂子
21.EHD4 ATPaseによる細胞内器官の局在制御 医療保健情報学(池田先生)
植田友実子
22.胸腺腫の免疫組織学的検討 病理形態学(高橋先生)
藤原香代子 横山結子
23.改良アガロースゲル電気泳動によるリポ蛋白質分離能の改善 病態化学解析学(臼井先生)
金平美倫 高岡咲子
24.Helicobacter pylori抗原刺激による末梢血単核球の反応性の検討 病原細菌学(横田先生)
谷畑和可苗
25.Helicobacter hepaticus診断のための免疫染色法の基礎的検討 病原細菌学(横田先生)
杉原辰哉
26.音楽刺激により誘導される唾液NGFの至適誘導時間の検討 遺伝子解析学(石川先生)
氏家知佳 田野裕来
27.連続脈波計測による運動負荷中の循環調節機能についての基礎的研究 生体情報解析学(岡先生)
大内咲江
28.筋音単収縮波形を用いた速筋トレーニング効果の評価に関する基礎的研究(第2報) 生体情報解析学(岡先生)
伊藤宏恵
29.呼気凝縮液中の好中球マーカーの解析―ミエロペルオキシダーゼ(MPO)― 生体機能学(片岡先生)
兵田朋子 松若さえら
30.E‐セレクチンの細胞内局在とその役割 血液検査学(柴倉先生)
三宅雅之 渡邉美里
31.fNIRSで見た酸素化ヘモグロビン量のゆらぎについて 高次機能解析学(岡本先生)
小田真珠子
32.マウス脳におけるIgGFc受容体の局在 高次機能解析学(岡本先生)
山口絵里


〈岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻 7期生 就職・進路状況〉


 進 学

岡山大学大学院医歯薬総合研究科 
岡山大学大学院保健学研究科修士課程
大阪大学大学院医学系研究科
神戸大学大学院保健学研究科

  就 職

病院県内
岡山大学病院
岡山大学大学院保健学研究科技術補佐員
おおもと病院
岡山協立病院
岡山済生会総合病院
岡山赤十字病院
岡山二人クリニック
岡山労災病院
倉敷中央病院
水島中央病院

病院県外
出雲市民病院
大阪労災病院
香川済生会病院
京都第二赤十字病院
呉共済病院
神戸百年記念病院
昭和病院
市立八幡浜総合病院
高松赤十字病院
徳島赤十字病院
徳山中央病院
鳥取大学医学部附属病院
日本赤十字社和歌山医療センタ−
広島県環境保健協会
広島赤十字・原爆病院
まつえ松江赤十字病院
三宅医学研究所附属三宅リハビリテ−ション病院

検査センター
福山臨床検査センタ−

企業
アロカ
フクダ電子
フジ・レスピロニクス

公務員
倉敷市職員
静岡市職員
高松市職員
兵庫県職員


以上

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