同窓生だより

岡大ライフ

平成19年度岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻 卒業

藤田幸史郎

平成16年の春、岡山大学に入学して、それからもう4年が経ったのかと思うと、本当に短かったなと思います。短かったと思えるということは、自分なりに岡大ライフを楽しめたのだと感じております。

初めての1人暮らしでは、高校生まで当たり前のように毎日出てきた3度のご飯も、自分で用意をしなければいけなくなり、また洗濯や掃除についても、自分でやならければならなくなりました。1人暮らしをして初めて、家族のありがたみと、自分がいかに家族に甘えていたかが分かりました。

私は大学4年間、部活動は医歯薬卓球部に所属していました。1年生、2年生のときは講義もあまり忙しくなく、練習日以外にも毎日部室に顔を出し、夜遅くまで卓球をしたことはよく覚えています。部活動では、卓球の技術だけでなく、これから社会に出て必要な、礼儀や作法も教わりました。そして、一番思い出深いのは、鹿田祭で部の模擬店の店長を務め、部員が一丸となって準備から販売まで、模擬店の運営をやり遂げたことです。また、精神的に苦しいときに相談に乗ってくれる、よき友人もたくさんでき、1年の秋に、台風で実家が全壊して落ち込んでいるときに救ってくれたのも友人達でした。

大学の講義・実習では、どの先生方も、熱心に指導して下さいました。先入観で、大学の先生は怖くて気難しいというイメージがありましたが、やさしく親身になって、勉強以外のことでも相談に乗っていただいたり、また時には医療人として厳しく接して下さり、医療についての豊富な知識と、医療人としての心構えを教わりました。

私は無事、大阪府に就職が決定いたしました。岡山を離れるのは本当に寂しい思いがします。しかし、岡大4年間で学んだ知識と心構え、そして何より患者さんを純粋に救いたいという思いを胸に、社会人として頑張ることが、私のできる岡大への恩返しだと思い、これからも精進してまいりたいと思います。

最後になりましたが、4年間お世話になりました先生方、院生の方々、岡山大学職員の方々に厚く御礼申し上げます。


<卒後10年>
 

臨床検査技師万歳


杉本(旧姓西村)裕美子


 臨床検査技師として働いて10年、この怒濤の10年間を振り返ってみたい。

私は、平成10年に岡本先生の紹介で真庭市の精神病院である向陽台病院に就職した。そこは200床もあり、老健施設も併設しておきながら、検査技師がたったの1名。申し送りも色んな情事でたった1日しかなかった。そんな状態で4月1日から私一人でいきなり仕事を開始することになった。先輩も同業者もいない、しかも知り合いすらも皆無のこの異国の地で何をどうしたらいいのか…

自分のキャラ設定すらも定まらないまま午前が終わり、社会人1日目であるにも関わらず、午後からは主任者会議に出席。初日で挫折しそうになった…いや、ある意味挫折した。しかし、この病院は、理事長を初め、職員さんが親切な人ばかりで、困ったときはすぐに助けてくれた。患者さんもフレンドリーな感じで話しかけて来てくださる。それに何と言っても一番心強かったのが、毎週木曜日に岡本先生がこの病院に当直に来てくださるということ。   というのが、ここの病院の検査のメインは、脳波検査と心電図検査、つまり生理学検査。臨床生理学は私にとって最も意味不明で訳の分からない科目(岡本先生ごめん)なのである。よくわからないまま卒業してしまったので、私に脳波がとれるはずもなかった。だから最初の脳波検査は岡本先生にとって頂いた(ズルイ)。その後、学生時代に見向きもしなかった臨床生理学の教科書を穴が開くほどにらみながら徐々に脳波検査を覚え、毎日4人でも余裕でとれるようになった。

今では電極の装着スピードがマッハなので、午前中だけで5人測定も可能なほどのスペシャリスト(謎)になった。
しかも、学生時代あんなに苦手だったのに、今では脳波を見ただけで、どの患者さんの脳波か分かってしまうし、人のアタマを見ると、「あのアタマからどんな波が繰り出されるのだろう?」と想像するまでになってしまった。
もともと対人が苦手で、機械の操作が好きで臨床検査技師を目指したのに、気がつけばバリバリ対人の生理学の検査技師になっていた(というほどでもない)。

もちろん、仕事は脳波と心電図だけではない。検尿や、血液検査(薬物濃度のみ)、さらには入院患者さんの定期検査の準備までもやっている。学生時代は、やはり検尿検便には抵抗があったのだが、今といったらどうだ、検尿コップが並んでいる横で、紙コップでお茶を飲めるぐらいだ(間違っても間違えないようにしたい)。慣れというものはおそろしい。

ところで、学生時代、唐下先生の試験で「理想の検査室像を述べよ」というのがあった(ような気がする)。私は「全面ガラス張りとまでは行かなくても、廊下側に大きい窓を設け、中が見えるようにする」といったようなことを書いた。というのも、様々な病院の検査室を、実習生としても患者としても観察してきたが、殆どの検査室というのは隅に追いやられており、廊下側に窓がなく、他部署から孤立している印象が強かったからだ。

うちの病院の検査室もまた、端っこに追いやられており、ドアを閉めたら外界から完全にシャットアウト、患者さんにはトイレと間違えられるし、なかなか地味でキノコの生えたワールドであった。だから私はいつもドアを開けたまま仕事をしていた。しかし、3年前に診療棟改築工事という大チャンスに恵まれた。検査室を外来寄りに移動させ、誰が何と言おうと廊下側の壁の一部をガラス張りにしてもらった。
もちろん中は丸見えだが、予想通り、患者さんや看護師さんとコンタクトがとりやすくなり、非常に仕事がしやすくなった(見られていないと本気が出せないという説もある)。

こういったように3年ぐらい前に、臨床検査技師としての自分に勝手に達成感を味わってしまったので、問題は今後どうするか…である。
惰性で働くのか?
いやいや!この病院でできることはまだまだたくさんあるはずだ! そんなことを考えながら、今日も鼻歌交じりに脳波をとっている井の中の蛙である。

<卒後20年>

福山市医師会臨床検査センター
和田 栄津子


 卒後20年か…現在の職場に変わってから13年目のためちょっとギャップを感じるのですが、もうそんなに経つのですね。福山市医師会に就職して初めて病理検査に携わり、遅まきながら細胞検査士の資格をとりました。病理の元井先生をはじめ、多くの先輩後輩とともに忙しく賑やかな毎日を過ごしています。また、研修会に参加することによって他施設の方々からも刺激を受け、もっと頑張らないといけないなと思っています。最近では研修会の企画をする側の立場にもなりそれも大変でもあり楽しくもあります。興味を持ってもらえる研修会を企画してさらに参加をアピールするのはなかなか難しいなと感じていますので、皆様日々お忙しいとは思いますが身近な研修会にも参加してみて下さいね。

 

 
 
 


<岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻6期生卒業研究テ−マ>


【H19年度 前期】

1.早期のインスリン抵抗性マーカーとされる血清RBP4の測定と動脈硬化促進の危険因子に関する血清脂質の検討 臨床化学検査学(一村先生)
岡祐未子 岡田京子
2. 興奮性神経細胞死におけるFc受容体γサブユニットの役割 高次機能解析学(岡本先生)
中谷有沙 吉実瑞弥
3. 音楽刺激により濃度が上昇する唾液成分の探索 遺伝子解析学(石川先生)
三宅奏子 矢戸佑佳
4. 糖類による「ウイルスプロモーターからの遺伝子発現」増大 No.1 単糖と二糖の比較検討 ウイルス学(荒尾先生)
進七緒
5. 糖類による「ウイルスプロモーターからの遺伝子発現」の増大 No.2 糖アルコールと非糖アルコールの比較検討 ウイルス学(荒尾先生)
江角真依
6. 呼気凝縮液中(EBC)の好酸球性カチオンタンパク(ECP)の検出 生体機能学(片岡先生)
中藤夕加奈 深田英里
7. 骨格筋のATPase染色による筋線維構成比の算出法 生体情報解析学(岡先生)
堂垂信道
8.負荷試験時のAIxとHRの変化と関係 -自律神経系反応に着目して- 生体情報解析学(岡先生)
橋本あすみ
9. 免疫能評価指標としての唾液中成分の検索 免疫検査学(唐下先生)
中村貴美子 西澤幸江
10. 関節軟骨への薬物送達を目的とした CSBP-EGFP リコンビナントタンパク質の発現と精製 臨床病理学(草地先生)
井川加奈子
11. IV型コラーゲンα3鎖の遺伝子破壊マウスにおけるマトリックス代謝について 臨床病理学(草地先生)
藤原佐和子
12.ヒト胸腺皮質に存在する新しいマクロファージの同定 病理形態学(高橋先生)
久保晴奈 M田香菜
13.ELISA法による血中レムナント測定の検討 医療保健情報学(池田先生)
衛藤由布 松田香菜


【H19年度 後期】
14. 制御性 T 細胞の免疫組織学的分布 病理形態学(高橋先生)
新免香織 原田菜美
15. グルコース,フルクトース,及びガラクトースの類似体がヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーターからの遺伝子発現に対して与える影響 ウイルス学(荒尾先生)
藤井亜依
16.糖の遺伝子発現促進効果に対する各種ウイルスプロモーターの応答性に関する研究 ウイルス学(荒尾先生)
安井紘子
17. 音楽刺激による唾液 IgA と唾液アミラーゼの濃度変化について 遺伝子解析学(石川先生)
櫻井大輔 柳善樹
18. 各種負荷試験時における Alx と脈拍間隔の変動 生体情報解析学(岡先生)
森川沙由梨
19. 筋収縮力を用いた筋線維タイプ構成比の推定 生体情報解析学(岡先生)
岡理恵子
20. 呼気凝縮液(EBC)中のロイコトリエン(cysLT)の検出 生体機能学(片岡先生)
松宮聡子
21.Large Gel 電気泳動法による気管支肺胞洗浄液の 2D 解析 生体機能学(片岡先生)
三好久美子  
22.Helicobacter pylori 発ガン株の病原遺伝子解析 細菌学(横田先生)
出口奈緒子
23. Helicobacter pylori 発ガン株による単球からのサイトカイン産生能の解析 細菌学(横田先生)
衛藤友美 
24. Helicobacter pylori 抗原刺激による胃癌患者の末梢血マクロファージレセプター DEC205 の発現解析 細菌学(横田先生)
坂本恭子
25. クライオフィルムを用いたマウス非脱灰硬組織凍結切片の免疫組織学的染色法の検討 臨床病理学(草地先生)
山根英里子
26. 脳における Crtl1の発現パターンの解析 -正常マウスとBral2欠損マウスでの比較検討- 臨床病理学(草地先生)
安田友湖 
27. Ab92 抗体に対する抗原 X3 の精製 臨床病理学(草地先生)
植野史朱華
28. 神経細胞周囲網における Fc 受容体の役割 高次機能解析学(岡本先生)
松浦まき 井上靖子
29. 急性移植片対宿主病におけるセレクチンの役割 血液検査学(中田先生)
田原麻衣 岡村奈央子 渡邊由紀子
30. 高比重リポ蛋白中のアポリポ蛋白 E の測定に関する検討 医療保健情報学(池田先生)
飯島夏子 藤田幸史郎


〈岡山大学医学部保健学科検査技術科学専攻 5期生 就職・進路状況〉


 進 学 (4名)
    
   岡山大学大学院保健学研究科修士課程  3名
   
   神戸総合医療専門学校  1名
 

  就 職 (39名)

  1) 岡山県内施設:13名

岡山市立市民病院
岡山大学病院
岡山済生会総合病院
 赤磐医師会病院
岡山中央病院
中国・四国国立病院機構
 倉敷中央病院(6名)
倉敷記念病院


2) 県外施設:26名
 

英ウイメンズクリニック(兵庫)
三豊総合病院(香川)

 香川済生会病院(香川)
JA尾道総合病院(広島)
 高松赤十字病院(香川)2
神戸百年記念病院(兵庫)
2
白井内科クリニック(大阪)
徳島赤十字病院(徳島)

 広島記念病院(広島)
大阪府立病院(大阪)
京都第二赤十字病院(京都)

 広邦会関連病院(福岡)
周南市新南陽市民病院(山口)

 福井赤十字病院(福井)
国立循環器病センター(大阪)

 教員共済中国中央病院(広島)
福山市立市民病院(広島)

 榊原中央病院(東京)


 
                             以上

広報誌のページ    TOPへ戻る